真宗儀礼私論 信楽 峻麿(2000.1.19.)
一、真宗儀礼の原理
1、象徴行為としての儀礼
a 象徴とは何か
ーーー象徴とは、不可説なる究極的価値について、世俗的概念にもとづく類比的な表象形態をいう
ーー肯定的説示
ーー否定的説示
ーーーそれによる究極的価値(超越)に対する指示
b 象徴の性格
ーー符号(sign)
ーー象徴(symbol)
・それはつねに自己を越えて究極的なものを指示している
・それは究極的なものに関わって成立している
・それは人間の心(霊性)を育て開発する
・それは時代社会の中で自然に創造される
・それは時代社会の変化によって死滅する
c 象徴と歴史状況
・新しい時代社会の状況に対応して主体的に再会釈、再形成されることによってのみ存続しうる
ーー象徴の形式化…標識化
ーー象徴の実体化…呪術化
2、象徴の種類
a 対象的な象徴
ーー具象的表現…仏像・絵画など
ーー言語的表現…名号・教典など
b 行為的な象徴
ーー宗教的行業…行道…称名念仏など
ーー宗教的儀礼…典礼…合掌礼拝など
3、行為的な象徴
a 宗教的行業
ーーー信心を開発するための手段道程としての行為、または信心そのものの行為表現をいう
ーー信心へのプロセスの行為
ーー信心の自己表現の行為
b 宗教的儀礼
ーーー究極的価値とのかかわりをもとうとする、またはそのかかわりをもったところの個人的または集団的な制律化さ れた宗教的行為の体系をいう
ーー信心の開発をめざす行為
ーー信心の自己表現の行為
ーー言語…称名・読経など
ーー動作…合掌・礼拝など
ーー内面…宗教体験の形成と深化
ーー外相…宗教態度の確立と徹底
c 宗教的行業と宗教的儀礼の関係
ーーーその両者はほとんど重層的関係にある
ーー宗教的行業…主として信心へのプロセス
ーー宗教的儀礼…主として信心の自己表現
二、浄土教における儀礼の歴史
1、阿弥陀仏思想の成立
a 釈尊滅後の仏教の展開
出家者中心の仏教
ーーー経典崇拝
在家者中心の仏教
ーーー仏塔崇拝
b 仏塔崇拝の教団
ーーー釈尊の永遠化
amitabha(注 活字がありませんでした。aの上に-をつけた字です)
amitayus(注 活字がありませんでした。aの上に-をつけた字です)
ーーー阿弥陀仏思想の誕生
2、阿弥陀仏の表象
a 姿形として…仏身(仏像)
b 言語として…仏名(名号)
c その行道と儀礼
行道…主として名号について…称名・聞名
儀礼…主として仏像について…礼拝・供養
3、浄土教における儀礼の展開
ーーーインド・中国・日本の浄土教
ーーーとくに善導浄土教の特性
ーーーヨーロッパ文化の影響
三、親鸞における儀礼の思想
1、真宗本尊の問題
ーーー名号本尊の創始
ーーー儀礼の簡略化
ーーー真宗の大衆化
2、日常礼拝の問題
ーーー日本浄土教の伝統
ーーー六時礼拝(日没・初夜・中夜・後夜・晨朝・日中)
ーーー親鸞における善導「五正行」文の理解
ーーー『化巻』引用の態度
ーーー礼拝儀礼の簡略化
ーーー真宗の大衆化
3、死者儀礼の問題
「聖人二十五日の御念仏」(『御消息集』)
ーーー念仏伝道のために
四、現代における真宗儀礼の諸問題