真宗遺族の方々に真宗遺族会結成をよびかけます

1985年(昭和60年)8月15日、首相・閣僚による靖国神社公式参拝が遂に強行されました。その是非をめぐっての議論を無視した強行なものでした。
 何故それはどまでに靖国でなければならないのでしょうか。首相の公式参拝は戦没者遺族の要請であり、国民大多数の心情であるとしておりますが、十分な論拠があるのでしょうか。
 また、もしそうであるとしても、この場合、遺族や国民の感情にもまして大切なことは戦没者自身の「いのち」をどのように考えるかということです。
 このとき戦没者のいのちは特定のそれではなく、戦争によって被害を受けたすべてのいのちへと拡大されなければなりません。
 それらのいのちのうめき声の中に「戦争はいかなる戦争も罪悪である」との証言が聞こえないのでしょうか。この大いなるいのちの要求にこたえるものこそ真実の宗教であると思います。
 真宗者にとって仏教は、そのいのちの尊厳と平等をこの身に確立せしめる法であります。
 親鸞聖人は自身にこれを体現し、その道をわれらが行くべき道として明らかにされました。この道を妨げる者に対しては厳しい抗議の姿勢を貫かれています。
 このたびの靖国神社公式参拝実施はやがて国家護持法案に向かうことは必至です。
 戦没者を「英霊」と讃え、戦争を「偉業」とするあり方はそのいのちのうめきに果たしてこたえるものなのでしょうか。
 わたしたち遺族は真宗者として、共に聖人に学びつゝ誤りなき道を力強く歩んで行きたいと思います。ここに次の目標を掲げ真宗遺族会を結成します。

≪目   標≫

  1. わたしたち真宗遺族は、阿弥陀如来に帰依する者として、戦没者が「神」としてまつられていることを厳しく問い返していきます。
  2. わたしたち真宗遺族は、真宗信心にもとづいて戦没者を追悼いたします。

真宗遺族会−これからの歩み−

  1. 現在、京都・大谷本廟(4月18日)或いは東京・千鳥ケ渕墓苑(9月18日)において、西本願寺主催による戦没者追悼法要が営まれております。この法要に連動して、真宗遺族がお互いの研鑽する場としての全国集会を開催します。
  2. 更に、各寺院に於て真宗信仰にもとづいての追悼法要をお勤め下さるよう呼び かけていきます。
  3. 本願寺宗務機構に真宗遺族会の窓口の設置を要請し、多くの会員の加入を勧誘し、幅広く運動を展開していきます。
  4. 現在、福岡、広島、島根、佐賀(既に結成)、北陸、岐阜などで真宗遺族会結成の動きがありますが、会員が核となって各地域での結成を推進していきます。
  5. 文書活動を通して「靖国」に関する認識を深め、更に遺族同志の交流をはかっていきます。
  6. 当然のことながら、あらゆる機会をとおして、「靖国神社国営化」・「靖国神社公式参拝」の動きに対しては厳しく抗議していきます。
  7. 当面の運営は会員の会費(年3,000円)賛助会費(年2,000円)及び賛同者のカンパにてまかなっていきます。
  8. その他、真宗遺族会には日本遺族会に所属している、いないの区別なく加入できます。(遺族年金・公務扶助料については日本遺族会の会員であるなしにかかわらず受給されますことを申し添えておきます。詳細につきましては事務局までお問合せ下さい)

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